ジャン・アラン
ジャン・アラン
今、教室では調律をしていただいています。調律師はピアノの主治医と言ってもいいかもしれません。私はとても技術の確かな素晴らしい調律師の方に恵まれました。それだけでなくお人柄も穏やかな方なので安心して大切な楽器たちを預けることができます。
しかしながら調律をしていただいてる時間はピアノの練習ができないので(グランドピアノ2台の調律なので3時間~4時間かかります)日の高いうちですが(普段は家族の寝静まった夜中に書いています)ブログに取り掛かりました笑
今日は,今 私が取り組んでいる、フランス人作曲家の「ジャン・アラン」についてお話ししたいと思います。皆様にはおそらくあまりなじみのない名前ではありませんか?フランス人作曲家と言えばドビュッシー、ラヴェル、フォーレ、メシアン、ダマーズ古いところではクープラン、ラモー・・・etc.
では、なぜ、このジャン・アランが知名度が高くないのか、それはあまりに早すぎる死、夭逝ということです。1911~1940年という短さです。たったの29歳!長生きされていたら間違いなく、フランスを代表する大作曲家、大音楽家になられていたことはまちがいありません(涙) モーツァルト、シューベルトなどは、人物を語るときに、その天才性と惜しまれる夭逝が同時に上がってくるわけですが、フランス人作曲家として、私は同じところで語られるべき音楽家だと思います。
オルガン曲に興味のある方なら、昨年亡くなられた、フランスを代表するオルガニスト マリー・クレール・アラン女史をご存じの方も多いと思いますが、そのお兄様です。かつて留学生時代のある日、貧乏学生の私は、日曜でピアノの練習ができない寮の規則で、ふと思い立ってノートルダム寺院にお祈りをしにミサに出かけたところ、たまたまそのミサの奏楽者がマリー・クレール・アランだったので「ぶっ飛んだ」思い出があります。その時の驚きは忘れられません。すでにマリーは世紀の巨匠と言われる存在でいらしたので、「ただで」笑こんなすごい演奏(奏楽なのですが)聴かせていただけるなんて、ありがたくてありがたくて・・。マリーはジャンの作品を多く演奏し、また音源に残しています。そう、ジャンは多くの欧州音楽家がそうであるように、教会のオルガニストでもありましたので、オルガン曲が多いのです。たった29年の人生でしたが、この天才も少なくない作品を残してくれました。彼のピアノ曲を弾いていて思うのは、やはり、オルガンっぽい、ということ。
パイプオルガンは足鍵盤があることで、音の幅がピアノより、深いのですが、この作曲家のピアノ曲は左手が足鍵盤っぽい、という特徴があるように感じます。
機械いじりが好きで、車やバイクが大好きだったジャンは第2次世界大戦が勃発し、徴集されて、バイク伝令の部隊で敵地の偵察に行ったところをナチスの兵隊に見つかり、降伏を拒否して殺されてしまったそうです。(正直、降伏してくれていれば・・・現代の私たちはもっとたくさんの作品にも出会えただろうし、ご本人にもお目見えできたかもそれない、と思うと、本当に戦争の愚かさを呪いたくなります。)先日、とある国の犯罪者集団が、遺跡を破壊した、とのニュースを耳にしました。偉大な遺産を作り出すのも人類だけれど、それを破壊するのも人類なのです。